吉祥寺の喫茶店来たら、近くの若者から神妙な声色の会話が聞こえる。
「中毒性」「何よりも優先しちゃう」「俺は辞められた」
などと、向かい合う席で奥2人が嗜めてる。手前1人の覚醒剤か大麻を止めるよう、考えを改めるよう説得している感じだ。
「一年ずつ大人になっていくから、振り返ってみたら前とは全然違うから。」
今日は朝起きてからずっと何にもしっくりこなくて、泥のようにごろごろしてはゲームしてを繰り返していた。久しぶりの休みがこんな天気だと、どう休んでいいかわからなくなっちゃうのかもしれない。
泊まりに来ていたさつきが家を出るタイミングで、ささっと着替え一緒に家を出る。服が臭くなるからなあとかなんとか思いつつ、なにもやらないよりはとルノアールに行く。足が運びやすい場所があるのはいいことだ。服は臭くなるけど。
そうやって一生懸命ここに来たと言うのに!
駅に向かう道で「喫茶店で集中できるかって結構賭けだよねえ」なんて話していた矢先。色恋のクソみたいな話だったらまだ体に音楽を流し込めばなんとかなる。
でも、こればっかりは気ィーにーなーるー!!!!!
奥2人が説得し続けている。
手前の人はまだなにも言っていない。
どういう表情で話を聞いてるの!?
もうダメ気になる!!!首がそっちを向きそう!!!抑えてわたし!!!ぐああああ。
もうダメだ、埒が空かねえ。
一度音楽を聴いてみたけど、手前の人が一度も口を開いてないことを思い出してしまった!!!!
彼が口を開くまでは聞いてなきゃダメだ!!!!!!!!!!
イヤホンを外す俺!!!!!!
盗み聞きはタチ悪い!!!!
しかし、お客さんが何人出たり入ったりするうちに、他のお客さんの明るい会話に中毒性の話はもみ消されてしまった。神妙な会話は別にエンターテイメントじゃない。
「え!?ホットペーパービューティーだと、そんな安いの!?」
「俺だってガミガミうるさい人にはなりたくないから」
「うぉ!マジで!?俺もさ、芸人の粗品見たんだけど!」
「いや、脅すつもりはないんだけど」
気がついたらその3人組は帰っていた。劇的なことが起こるかなと思っていた。ちょっとがっかりした。
読みかけの本を読み終えたのだが、特別おもしろいものでもなくてまたがっかりした。手に取った本が、びっくりするくらい良いこなんか滅多にない。本を読み終えることで小さな自信が欲しかったのだが、大して得るものがなかったことにがっかりしただけだった。
何かが起こりそうな事が、日常には起こる。それが何かになることは滅多にないのだけれど、出来るだけたくさんの時間、目を開いていたい。
久しぶりの休み、休みらしいことをするよりも疲れるまでゲームをしたり米を買って炊いたりする方がいい気がしてきた。
20分後上映開始の映画を見に行くか迷っている。